SDGsの次なる目標とは
■ 2024年「未来サミット」と『パクト・フォー・ザ・フューチャー』
- 2024年9月、国連で「Summit of the Future(未来サミット)」が開催され、各国首脳が**“これからの国際協力の大枠”**を話し合い、『Pact for the Future(パクト・フォー・ザ・フューチャー)』という合意文書が採択されました。欧州議会+1
- このパクトは、
- 持続可能な開発と開発資金
- 平和と安全保障
- デジタル・AIなどの科学技術
- 若者と将来世代
- 国際ガバナンス改革
などを大きな柱にしていて、「ポスト2030の議論はこの枠組みを土台に進めよう」という位置づけになっています。国連+1
■ 2027年SDGサミットから「ポスト2030」の公式議論スタート
- 『パクト・フォー・ザ・フューチャー』では、2027年のSDGサミットでポスト2030アジェンダの正式な議論を開始することが盛り込まれています。SDG Knowledge Hub+1
- つまりタイムラインとしては、
- 〜2030年:現行SDGs(17ゴール)のラストスパート
- 2027年:SDGサミットで「2030年以降の国際目標」の設計議論を公式に始める
- 2030年前後:新アジェンダ(仮に「ポスト2030ゴール」)を採択 → 2031年以降に本格スタート
というイメージです。
2. 中身の方向性として見えてきている論点
今出ている議論・提案をざっくりまとめると、次のような「方向性」が語られています。
① SDGsの「延長」か、「新しい枠組み」か
国連関係やシンクタンクの議論では、大きく3つのシナリオがよく語られています。Ban Ki-moon Foundation+1
- SDGsを2040年 or 2050年まで延長し、修正しながら続行
- グローバルな共通枠組みがまとまらず、地域ごとの「パッチワーク化」
- SDGsを踏まえつつ、さらに野心的で統合的な「新アジェンダ」を合意
現時点では、1と3の中間(=SDGsの骨格を活かしつつアップデートする)方向を模索している論調が強いです。Frontiers+1
② 重要テーマの「格上げ」・再整理
各種レポートや専門家議論では、ポスト2030で特に強化・再整理されるだろうテーマとして:
- 気候変動と自然・生物多様性の一体的な扱い
- パリ協定・生物多様性枠組み(GBF)と、今後の開発目標をもっと「一体運用」しようという提案。Frontiers
- デジタル・AI・サイバー空間のガバナンス
- 「グローバル・デジタル・コンパクト」という別文書も未来サミットで議論されており、AI・データ・デジタル格差などを新アジェンダと統合する可能性が高いです。認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウ Human Rights Now+1
- 不平等・ジェンダー・社会的包摂の再強化
- コロナ後の格差拡大や、南北問題を踏まえて、「誰一人取り残さない」をより具体的に、かつ制度面・財政面で強くするべき、と議論されています。SDG Knowledge Hub+1
- ガバナンス(多国間主義)の立て直し
- 安保理改革・国際金融システム改革を含め、「目標だけ立てても実行されない」問題に踏み込む必要がある、という視点です。欧州議会+1
③ 財源・実行メカニズムの見直し
- 現在もSDGs達成のための資金ギャップは年4.2兆ドル以上とされ、2030までに埋まらない可能性が高いとされています。afd.fr+1
- そのため、ポスト2030では、
- 開発金融(MDB改革、債務再編)
- 民間資金(ESG投資、インパクト投資)
- カーボンプライシングや国際課税
などを組み合わせた**「持続可能な開発の財政アーキテクチャ」**が大きな論点になると予想されています。
3. すでに始まっている「ポスト2030議論」の具体例
- 専門家ラウンドテーブル・研究プロジェクト
国連大学や各国研究機関、CSIRO・Nature系列などで、
「SDGsの何が機能し、何が機能していないか」
「次のゴールはどう設計すべきか」
といった対話や論文が急増しています。unu.edu+2Nature+2 - “Beyond 2030”というキーワードの頻出
2025年頃から、国連関係のポッドキャストやウェビナー、HLPFのサイドイベントなどで、
“SDGs and Beyond” “Beyond 2030” といったタイトルの議論が増えており、**「今のうちからポスト2030の設計思想を練ろう」**というムードが高まっています。UN SDG:Learn+2コモンウェルス議会協会+2
これらの次の目標に向けてSDGsを学び直すことが必須ですね。

